富士山麓にあるアミューズメントパーク「富士急ハイランド」を運営する富士急行株式会社は、「機動戦士ガンダム」の新アトラクション「GUNDAM CRISIS(ガンダム クライシス)」を報道陣に公開した。
「GUNDAM CRISIS」は世界初となる全長18mのフルボディ1/1ガンダムを目玉とした、ウォークスルータイプのミッションクリア・アトラクション。一般へのオープンは7月21日から。2000年から2006年12月までの「GUNDAM THE RIDE」に続くガンダム・アトラクション第2弾となる。建物も同じで、内部を作り替えた。
プレイヤーは「VQディバイダー」と名づけられた専用の携帯情報端末を持ち、与えられたミッションをクリアするために、1/1ガンダムが横たわる格納庫のなかを動き回る。そしてミッションをクリアしたプレイヤーだけが、ガンダムのコックピットに入ることができる。
一回あたりの利用定員は 40名。利用制限はないが、小学生未満は保護者同伴。「GUNDAM CRISIS」利用料金は800円(フリーパス利用可)。なお富士急ハイランドの入園料は、おとな(中学生以上)1,200円、こども600円、フリーパスはおとな4,800円、中高生4,300円、こども3,500円。
設定ストーリーは、連邦軍がジオン軍から宇宙要塞「ソロモン」を接収し「コンペイトウ」と改名した直後。ガンダムは、パイロットであるアムロ・レイ少尉の技量に合わせて、性能を大幅に向上する「マグネット・コーティング」と呼ばれる処理をするために格納庫に収納されている。プレイヤーたちは、担当者であるモスク・ハン博士の指示により、「マグネットコーティング」計画の遂行に協力するためのチームとして召集された技術士官候補生という設定だ。
そんな時、ソロモンの周回警備をしていた第24哨戒部隊所属のジャック・ベアードから、ジオン軍の部隊を発見、交戦中との情報が入る。ジオンの部隊にはザクやリック・ドムに加え、新型モビルスーツ「サイコミュ高機動試験型ザク」もいるという。さらに「赤い彗星」シャア・アズナブル大佐の部隊も、ニュータイプ専用機体「エルメス」のテストを兼ねてソロモンを強襲! 連邦軍もコンペイトウ周辺のジムやボール、セイバーフィッシュで応戦するが防ぎ切れない。一刻も早くガンダムの「マグネットコーティング」を完了させ、援護に出撃させなければ!
こうしてプレイヤーには、ガンダムのマグネットコーティングに必要なマニュアルデータを、制限時間内に所持している端末を使って集めるミッションが与えられる、というストーリー。
なおこの時代設定は、「ガンダム正史」に基づいているという。1979年からテレビでオンエアされた「機動戦士ガンダム」では、第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」を受けた第40話「エルメスのララァ」の時代に相当する。
作品中では、主人公アムロ・レイが操縦するモビルスーツ・ガンダムは、木星帰りの男、シャリア・ブル大尉とシムス中尉の搭乗するニュータイプ専用モビルアーマー「ブラウ・ブロ」と交戦。通常の兵士ならばまず避けられないはずのオールレンジ攻撃を受ける。だがニュータイプとしての能力を開花し始めていたアムロは、ガンダムの操縦系をオーバーヒートさせながらも、かろうじてブラウ・ブロを倒す。
だが、アムロの反応速度に現状のガンダムの性能がついてこれないのはもはや自明であった。動力系統の整備は進められたが、それだけではアムロについていけなかった。
そこで「急場しのぎのシステム」としてガンダムに施されたのが「マグネットコーティング」である。アムロの報告を読んで、「電磁工学の新鋭」モスク・ハン博士が、自分の理論を応用して「ガンダムの動きを速くしよう」としたものだ。「ガンダムの駆動系を電磁気で包んで動きを速くするんだとさ。ま、油をさすようなもんだな」とブライトは語っている。
アムロとモスク・ハンの会話によれば、無限大のパワーを注ぎ込めば理論的には「無限大にスピードは速くできる」とされているが、「動きが速くなった分はメカに負担がかかります。そのへんのバランスの取り方が難しいですね」(アムロ)とのことなので、普通のパイロットには使いこなせないという設定のようだ。
アニメのなかでも「マグネットコーティング」が具体的に何であるかは描写されていない。ともかく作中の描写を見る限りでは、ガンダムのアクチュエーターの反応速度と耐久性能を、特に関節部分を中心に大幅に高めるものであるらしい。モスク・ハン自身も「ま、失敗したからって恨むなよ。なにしろ、ろくなテストもしないで使うんだからな」と語っていたが処置はうまくいき、その後もアムロはガンダムを使い続けることになった。
作品中ではこのときもガンダムは斜めに立てられた状態で改造されていたが、アトラクションでは横たわった状態となっている。そこは建物の問題に加え安全上の問題もあるしやむを得ないところだろう。
さて、アトラクションに戻る。アトラクション館内に設置されているポイントに端末を近づけるとデータがダウンロードされる。いわば情報端末を使ったデジタル宝探しである。マニュアルデータはガンダムの各部分ごとに全部集めるのだが、中にはスカもあるし、逆にデータを消されてしまうポイントもあるので、注意が必要だ。
格納庫を模した各ゾーンでは、あちこちに遊びごころが見られるが、制限時間を過ぎると各ゾーンは閉鎖されるので次のゾーンに移動しなければならない。それは1/1ガンダムが置かれた格納庫内(セカンドブロック)でも同じであり、残念ながら、じっくり細部を見ようと思ったら、ミッションを放棄して、展示を見るだけに専念するほうが無難だ。それでも一度で細部まできちんと見ることはまず不可能である。マニアは繰り返し何度も入場することになるだろう。
アトラクション内の新作映像はサンライズが担当。モビルスーツはすべて3DCGで、新作2Dアニメパートも製作された。監督は「GUNDAM EVOLVE」8話、14話などを担当した鈴木健一氏。ストーリーは兵頭一歩氏。メカニカルデザインはカトキハジメ氏。富野由悠季氏が特別監修をつとめた。
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「GUNDAM CRISIS(ガンダム クライシス)」入り口
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入り口入ってすぐのゾーンの壁はガンダムの名台詞で覆われている
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ウェイティングホール
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最初にミッション内容が説明される
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ミッションのマーク
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参加者各自に渡される端末「VQディバイダー」
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館内でVQマニュアルデータを手に入れる
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ポイントごとに性格が異なる
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ファーストブロック
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細かい部分も作り込まれている
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ところどころに遊びごころが見られる
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これまた連邦が接収したものらしい
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角の基部
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壁にはコロニー内風景と思われる写真が飾られている
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端末をポイントに近づけてもエラーになる場合も。この場合にはデータはもらえない
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セカンドブロックにはガンダムが置かれている
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全景はとてもカメラのフレームにはおさまらない
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頭部のカメラはもちろん光る
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2階にあるデッキから眺めたところ
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とにかく大きい
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格納庫内は宝探しというミッションの性格上もあるのか非常に暗い
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【動画】格納庫内をウォークスルー
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ランバ・ラルの自爆を受け止めたガンダム左腕
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ハンド部と腕部のジョイント部
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ところどころハッチが開けられてメンテナンスされている様子が再現されている
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胴体部分側面
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ハッチの開けられた腰部分
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側面から。細部まで作り込まれている
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頭部を上から。アンテナ裏にも注目
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頭部のアップ
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「RX-78-2」の文字が見える右肩付近
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肩にはホワイトベース所属であることを示すマークがある
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腰まわりのディティール
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ビームサーベル
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ビームサーベルとランドセル
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脚部左膝付近。被弾跡らしきものが見える
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左大腿部
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左足を腰付近から
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足下付近から上半身を眺めたところ
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ガンダム右腕
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右腕をハンド部分から
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電動工具が置かれた右肩
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右腕。実際には横の階段に登れるのは無事にデータを集めた限られた人だけ
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無事にデータを集めた人だけが上がれるコックピット
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コックピット乗り込み部分から見た顔
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右胸部分のダクト
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コックピット内部
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左にはスロットルがあるが動かない
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中では3つのモニターを使って出撃したガンダム視点からの戦闘映像が見られる
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富士急スケート部の岡崎朋美選手。この日は特別に'98年長野五輪スピードスケート女子500m銅メダリストが連邦軍の制服で。イメージはマチルダさん
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1/1ガンダムを含む今回のアトラクションの内装費用は、およそ3億5,000万円。特にゲーム・ソフトウェアの割合が高いという。端末にはウィルコムが協力している。
アトラクション終了後、出口を出ると、併設ショップ「GUNDAM MANIA」が迎えてくれる。こちらもリニューアルオープンし、富士急ハイランド限定オリジナルグッズだけではなく、数々のガンダムグッズを販売する。
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併設ショップ「GUNDAM MANIA」
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ぬいぐるみハロ
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店内にはガンダムのプラモを収めた塔などもある
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1.5mほどのガンダムも。実物大ガンダムと比べてみよう
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ショップの外にはボールの像も展示されている
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ボール側面
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ボール背面
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富士急行株式会社代表取締役社長・堀内光一郎氏
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富士急行株式会社代表取締役社長・堀内光一郎氏は、富士急ハイランドのテーマのひとつは「夢の実現」だと語り、ガンダムのアトラクションはその一環だと述べた。自身もお子さんもガンダムファンだという堀内社長は、今回の1/1ガンダムについて「でかい、本当にでかいなという感じでございました」と感想を述べた。
なお「GUNDAM CRISIS」は、富士急ハイランドの新施設の一つで、このほかにトムとジェリーやル-ニー・テューンズのテーマゾーン「CARTOON LAGOON(カートゥーンラグーン)」や「戦慄迷宮4.0」、ホラー映画「伝染歌」とのコラボアトラクション「棺桶墓場“伝染歌”篇」、今回特別に作られた「フジヤマバーガー」が食べられる「モスバーガー富士急ハイランド店」などがオープンする。さらに近隣施設として山中湖エリアに宿泊型アウトドアリゾート「PICA山中湖ヴィレッジ」がオープンする。
記者会見には映画「伝染歌」に声で出演した「AKB48」のメンバーも顔を見せ、アトラクション「棺桶墓場“伝染歌”篇」をアピールした。
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アトラクション「棺桶墓場“伝染歌”篇」をアピールする「AKB48」のメンバー
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富士急ハイランドには「ハイランドリゾートホテル&スパ」が隣接している。ホテルの横には日本最大級の純木造浴室「ふじやま温泉」もあり、宿泊客は無料で入館できる。一番の特徴は、天気さえ良ければ本物の富士山を一望できること。絶叫コースターで凝ってしまった肩をほぐすには最適だ。
1/1ガンダムは、一度のアトラクション体験だけではとてもちゃんと見ることはできないし、そもそもミッションをクリアしてコックピットに辿り着くことは非常に難しい。マニアックなユーザーは何度も何度も体験することになるだろう。
ガンダムを堪能したあとに温泉につかれば、リゾート施設ならではのロボット応用アプリケーションも思いつけるかもしれない。
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フジヤマバーガーはパテ2枚を使った、高さ10cm、重さ約300gのボリュームたっぷりのハンバーガー。価格610円
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アトラクション館からは天気さえ良ければ見事な富士山が見える
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(C)創通・サンライズ
■URL
富士急ハイランド
http://www.fujiq.jp/
GUNDAM CRISIS
http://www.fujiq.jp/gundam/index.html
( 森山和道 )
2007/07/17 00:00
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